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それは、1羽のハトのおはなし【そのⅡ】 

「わぁ、何て素敵なお店なのでしょう……!!」


中に入ってきたのは、小さな女の子、

輝く瞳はエメラルドのような翠色、
揺らす髪は太陽の光を浴びたかのような栗色
ひらひらと純白のワンピースと大きな麦藁帽子をかぶってきて

彼女は周りの上級品には目もくれず、
奥の窓にひっそりといたあのハトへと近づいていった


「まぁ、何て可愛らしい……!でもちょっと埃が多いかも……」


ふぅと息を吹き込めば、ハトはまるで息を吹き返したかのように綺麗になった。


「まるで海のような瞳ね、綺麗……!!でも、ちょっと寂しそう……」
「それが気に入った?」
「あっ」


ふと後ろを振り返れば、そこに立っていたのは
すらっとした長身の男性、この店のマスターだった。


「こんな時間に女の子一人で、ご家族は心配してないの?」
「聞いてちょうだいお兄さん、私ね、初めて家出と言うものをしたのよ!」


ハトを高々ともちながらくるっと回って微笑む彼女


「ほぉ、家出とは……」
「そう、家での窮屈な生活はちょっとうんざりだったの、だから……今日だけはるばる。
でも、もう皆が心配してしまうからって一緒に連れてったガーデナーがうるさくって、もう!
だから最後にここを訪れたの!このハトさん!!見たときからずっと気になってて……」
「なるほどね~……ここにはそんなハトよりも沢山綺麗なものはあるけれど?」
「あら、そうなの?お昼には輝いて見えても、夜になると何処の家具も同じに見えるわね!」
「ほぉ~……うーん……」
「ねぇ、お兄さん……私、このお店を通り過ぎた時からこのハトが……
で、でも、お金をもう持ってなくって……」
「あ、いいよそれ」
「へ?」


マスターは軽い口調で、ハトを持ってた彼女の手を両手で温かく包み込んだ。


「丁度よかった、この子いつか空を飛びたいって言ってたから、君が、
たくさん外の世界を見せてあげなさい」
「空に……?何て可愛らしいハトなの、わかったわ!
空に飛ばしてあげるわね!ありがとうお兄さん!」
「あ、ちなみに家に帰ったらこのお店を宣伝して顧客を増やし……なんでもないよ」
「……?」
「さ、外で待ってるその子が心配しちゃうよ、もちろん、ご両親もね……またおいで」
「……うん!!本当にありがとうお兄さん!」


少女は輝いた笑顔になって店を出て行った。



「…………はぁ………」



閉められたドアをみつめて溜息を着いたマスターも、
心なしか少し安らかな微笑を浮かべていた。












「さ、早く早く!これ最後の便なんでしょ」
「早くって、お嬢様……この荷物達重すぎるんですケド」
「そのために貴方を連れてったのよ?」
「なんていう……重ッ!!」
「でもたくさん旅行が出来てよかったわね ―― !!」
「//……まったくもう……ん?そのハトは鞄に入れないのですか?」
「ふふ、このハトねお空が飛びたいのだって」
「へぇ……なるほど、だからフェリーではなくこれで帰られるのですね」
「そうよ!きっと、喜ぶわ……!」



そうして二人が乗り込んだものは、
やがて大きな機械音を立てて地上から大きく離れた。


先ほどまで深い深い闇だった夜空が、
少しずつ、少しずつ色を変え始め、
希望のような明るい色へと変わってゆく


「さぁ、ハトさん、見ててね……!!」



彼女は、窓枠にそのハトを置いた。


そして、そのとき、外から眩しいほどの太陽の光が差し込み、
そっと優しくハトたちを包み込んだ。


太陽の光に浴びたそのハトの瞳は、
悲しみにくれる深海のような蒼ではなく、
喜んでいるかのような大きな空のような青へと変わって行った。



「下でみる空よりも、もっともっと空って大きくて広いものなのよ、ハトさん」
「随分お気に入りのようですね」
「だって気に入ってるもん」
「あぁそうですカ……もうだいぶ空も青になってきてますね」
「ふふっ」




そうして、彼女達の短い旅もようやく終わったようだ






それから一週間、
お嬢様は相変わらずあの店で貰ったハトをとでも気に入っていて、
中々楽しそうです……勿論僕はお嬢様のご両親に散々叱られましたケドネ!
彼女の幸せを第一に考えるのなら、致し方の無い事!
って何言ってるのでしょうか僕は……

何はともあれ、また家族が一人増えて今日もこの家は平和です。
あ、またお嬢様が家を飛び出そうとしてますね!ちょ、危険です窓から出るなんて!!
それでは、今回はこれで失礼致します



そう、これは物語のほんの一端


一週間前彼女と僕がどのような旅をしてきたのか
あの店の主人が何故、あのハトを大切そうにしていたのか、
そして何故、その弟である僕が、この家の庭師であるのか



それはまた


別のお話















誰もいなくなった彼女の部屋で、
開いた窓から気持ちよい外の風にあたりながら
その窓の外を見ている一羽のハト

その瞳からは、静かに



一粒の涙が流れていた





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Posted on 2010/09/10 Fri. 09:45 [edit]

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